勤医協札幌看護専門学校【国語】(2022年)じっくり解説【問題1】(1)問一・問二
今回から、勤医協札幌看護専門学校の2022年の国語について解説します。勤医協札幌看護専門学校では、過去問題を公開してくれていますので、以下のリンク先から入手して下さい。
入試情報・学費 > 過去の入試問題 | 勤医協札幌看護専門学校 (kinkan.ac.jp)
まずは上のリンク先から2022年の過去問を入手して、解いてみて下さい。その上で、以下の解説と読み比べながら、答え合わせをしましょう。
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まずは【問題1】。出典は、『嬉しい奴』西丸與一。著者は、医師として、横浜市立大学の名誉教授として、作家として活躍された方じゃ。惜しくも2020年に鬼籍に入られた。ただ、調べても『嬉しい奴』という著書が見つからない。何かのエッセイ集などに収められた文章なのかも知れない。
まずは定番の「語彙」問題ですね。
うむ。問1は、カタカナを漢字に、漢字はひらがなに、「正確に」直すように指示がある。
ところで、国語の解説を「ヨコ書き」でやっちゃいます?
うむ。リアルまめじぃのスキルでは、ブログを縦書きで編集することはできん。数学の講座みたいに、手書きを交えて、というのも、恐ろしく手間がかかるから、勘弁してくれ。
わかりました。
1,りんしょう
2,修正
3,支障
4,他界
5,ふしん
6,洗礼
7,愉快
8,ひろう
9,恐縮
いかがでしょう。
そりゃあ、な。変換すりゃ出てくるからな。ずるいな。
ひどい。どれも基本的なものばかりでしょう!「ユカイ」の「愉」がちょっと、怪しかったけれど。
「愉快」はな、漢字検定でいうと、準2級レベルの熟語だな。高校初級レベル。語彙に不安のある方は、漢字検定の4級~準2級あたりを、しっかり勉強しておくのも手ですな。
4級って、中学初級レベルでしょ?
そう。しかし熟語として出題されたときに「あれ?」となる場合もあるから、漢字が苦手、語彙力に不安がある、という方には、4級あたりから語彙の確認をしていくことをオススメしている。
確かにそうですね。4級で出題される漢字が、それ以上の級の熟語の一部として出題される場合もありますからね。
まあ「語彙力」には個人差があるから、いちど書店で問題集をペラペラめくってみて、スタートする級を選べばOK。
つぎは問二です。空欄に当てはまる語を選択肢の中から選ぶんですね。
a はたせるかな
e いささか
このふたつは、普段使ったことがありません。
こういう問題は、選択肢に引っ張られないことが大切。迷ってしまうなら、選択肢はいちど保留にしておいて、
自分ならどんな言葉を入れるか
で判断してみるといい。そのうえで、選択肢から最も近いものを選ぶと、だいたい、正解していることが多い。
では[ア]から解説する。
「医学の進歩について考えるとき」+[ア]+「すさまじいという言葉があてはまろう」
という構文じゃな。医学の進歩を考えると、すさまじぃという言葉があてはまるんじゃな。
ん?[ア]に何も入れなくても、意味は通じちゃいましたね。
そうだな。それが何を意味するか。すなわち「すさまじい」という言葉を【強調】する言葉が[ア]にはくるのだ、というヒントになっているんだな。
それを省いても意味が通る=「強調表現」の可能性がある!ということですね。
そうそう。ということは?正解は?
e まさに
ですね。
他の選択肢でいうと、
b もちろん
と迷う方もいらっしゃるかも知れないが、「もちろん」と強調するだけの根拠が本文中のどこにもないから、正解にはならない。
「気がしてならない」と締めくくっている以上は、著者の感想を述べていて、それなのに「もちろん」と断定するのは変、ということですね。
そうそう。次[イ]を考えよう。
「その根底には、豊かな人間性がなければならないと思う。」+[イ]、+「今日の高度な医学知識も身に着けていなければならないが・・・。」
これはどうかな。
ポイントは「~なければならない」という表現ですね。あとは助詞の「も」。
1,豊かな人間性がなければならない
2,高度な医学知識も身に着けていなければならない
「も」に着目したか。いいな。
豊かな人間性がなければならない、だけれども、当然のこととして、高度な医学知識も、身につけなきゃ、という事を筆者は主張しています。
しかしそんな長い言葉は選択肢にないよな。というわけで、もっとも意味の近い言葉を選択肢から探そう。
はい。正解は
b もちろん
ですね。こうやって「カン」で答えるのではなく、正解までのプロセスをたどりながら、なぜそれが正解なのか、考えながら学ぶことが大事なんですね。
ワシがいつも教えていることだな。次は[ウ]。
「新しい車も気分が良かった。」+[ウ]、「駐車場に入ってとめた時にハプニングがおこったのである。」
著者は、新しい車を購入したばかりで、学生のA君を車に乗せたんだな。新しい車にウキウキしていたのだけれど、駐車場でハプニングが起こった。
「逆説」ですね。
そう。というわけで、選択肢の中で唯一の逆接を表す
f ところが
が正解。
つぎは[エ]だぞ。
「(筆者の車にキズを付けてしまったA君は)私(筆者)をなぐさめてくれた。」[エ]、「A君はいま、名医とはゆかないが、少なくともカンジャの痛みのわかる、評判のいい良医として活躍している。」
先生の車にキズを付けておいて、コンクリートの壁を心配して「大丈夫ですよ」なんて、A君、どれだけ天然なんだよ・・・いいな。
絶対やだ。
さて、選択肢をいったん見ないで[エ]にどんな言葉を入れよう?
これむずかしいです。
「そんな」か「やはり」だと思ったけれど、それだと「読点(、)」を入れる必要性が無いですもんね。
いや、あり得るかも知れんぞ。いろんな可能性を探ることが大事。
「はやく答え知りたい」と先に進んでいると、国語力は中々身に付かないの。
「そんな」と「やはり」を思い浮かべた、七海さんの発想、悪くないんだ。
はいわかりました!正解は
a はたせるかな
です!
それはなぜ?
消去法!いちばん意味がよくわからない言葉だったから!
ダメダメ。それは、たまたま正解と同じってだけで、ワシから言わせるとダメだな。「根拠」を言葉で正しく説明できてこそ、「正解」じゃ。
ええ~・・・私ごときに、果たしてそんな高度なことできるかなぁ・・・
それ。
え?
「果たして」
果たして?・・・はたせるかな・・・果たせるかな!
「はたせるかな」=「はたして」=「予想通り・思い通り」=「やはり」
同じ意味なんですね!知らなかった
だから正解は
a はたせるかな
コンクリートを心配するA君の独特な感性、やさしさ、思いやり・・・ユニークだよな。記憶に残る学生さんだ。そんな彼が、やはり、このエピソードに相応しい、いいお医者さんになっている、っていう話なんだな。
消去法でもいい気がするけれど
入試本番ではな。いざとなったら消去法で攻めるがいい。しかし普段の練習で、クセづけてしまうと、なぜ正解かわからないままだから、結果、学力向上にはつながらないからな。
はい
最後[オ]だな。
「どちらを向いても、こせこせした話が多くて」+[オ]+「うんざりするこの頃である。」
はい出た。「強調表現」ですね!だって[オ]がなくても文意が通りますよ!
うむぅ。それでは勤医協札幌看護専門学校の合格は厳しいぞ。コンテキスト(文脈)を正しく読み取ることが大切。筆者は「強調」したいくらい、相当、かなり、深刻に、うんざりしているのか?
それを裏付ける記述がどこにあるだろうか。
ええ!だって前に「強調表現」だって言ってたでしょ~
常にそうとは限らん。だから「コンテキスト(文脈)」を読み解け。筆者の記述から[オ]の前後に、心の底から、ひどく「うんざり」している、という箇所は見られるかどうか。
ないです
では「強調」ではなく、その逆を考えるんじゃ。「なかなかお目にかかれない」という記述からも、「強調」の逆を考える。もし「強調」なら「決してお目にかかれない」と表現すべきだろう。しかしここではそんな激しい言説を展開してはおらん。
むしろ「弱める」・・・「婉曲」ともいうが、強めるのではなく、遠慮がちに弱める表現を探せばいいの。
「すこし」とか「若干」とか・・・ですかね?
では選択肢から、最も似た意味の言葉を選ぼう。
e いささか
以外にありませんね。
そうだな。問二は、きっと何となく感覚で答えても、それなりに正解しそうな問題ばかりなんだけれど、
国語力を向上させる
という観点からすると、練習では、決して「なんとなく」で解いてはいけないの。
必ず「なぜこれでなければいけないのか」を考えるようにしよう。
今回は、ボリュームの関係で、他の選択肢がなぜダメなのかを解説できなかったが、各自で確認をしておいて欲しい。
説明が冗長にならないように気を付けているんですよね。これでも。
ひとこと多いなぁ
つづく。
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