濃度の計算問題を解くための「Tの型」(7)

まめじぃ

さて次の問題。今回は解説がすごく長いから読むのが大変そう。どうかしっかりついてきて下されい。

(7)計算上必要な場合は、小数第2位を四捨五入して小数第1位で求めて下さい。

①水100gに8gの食塩を溶かしました。この食塩水の濃度は何%ですか。

②3%食塩水が600gに解けている食塩の質量は何gですか。

③飽和食塩水の濃度は26%です。水200gと100gの食塩を混ぜました。何gの食塩が溶けずに残りますか。

(児湯准看護学校・改)
ななみ

①に関しては、これですね。

あてはめてみると、このようになります。

これを数式になおすと、

まめじぃ

うむ。食塩水の重さが「108g」(100+8)であるところがポイントだな。100gはあくまでも「水」だから、そこに「食塩」が加わった「食塩水」の量をT字の右下に入れる。ここ、急いで解いていると忘れがちになるところ。

ななみ

これを解いて①の答えは、74%とわかります。

まめじぃ

よし。では②だな。3%、600g、さて食塩は何gなんだろう。

ななみ

やはり例によって、次の型にあてはめてみます。

食塩の重さをxとおいて、方程式が作れます。

これを解くと、

x=18

だから、②の食塩の質量は18gです。

ところで、まめじぃ

まめじぃ

なあに?

ななみ

「重さ」と「質量」の違いって何?

まめじぃは「食塩の重さ」というし、

問題によっては「食塩の質量」というし、

これは同じものなの?

まめじぃ

今、ここでの解説は同じものとして扱っている。

実は、ほんとうは「質量」と言うべきなの。

でも、説明が面倒だから「重さ」って言ってたの。

ななみ

え?

まめじぃ

質量・・・物体が本来持っている物質の量

重さ・・・引力によって得られる値

だから、塩を月に持っていっても「質量」は変わらないけれど、「重さ」は変わる。

わかりにくければ、人間の体重で考えてみよう。地球で体重計に乗るのと、月で体重計に乗るのでは、地球で測った方が重いよな。中身は同じ物質で構成されていたとしても、だ。

ななみ

月は行ったことないから・・・でも地球よりは体重が減るというのは想像できます。フワフワお散歩しているイメージ。地球より引力が弱いんですよね。

どんな環境下でも「その物体のもつ物質量」は変わらない。それが質量。

引力の影響で得られた数値は、重さ。

まめじぃ

そうそう。だから本当は「食塩の重さ」という言い方ではなく「食塩の質量」と呼ぶのが正しいの。

理数系の先生方からすれば、激怒されるか呆れられるけれど、それでも、ここでは「食塩の重さ」で統一させてくれ。

ななみ

はい。

まめじぃ

そりゃワシだって、もっと厳密に「質量」を扱わなければいけない場合は、ちゃんと使い分けるさ。

でも本稿の目的は、

「食塩水の濃度の計算?何それ?」

という方に、

「わかった!」→「解ける!」→「楽しい!」

を体験して欲しい、というところにある。

言い訳がましいがな。でも苦手な人にとったら「質量」という文字を見ただけで、やる気が無くなる人だっているんだぞ。実際に。

ななみ

まあ、こんな記事は専門の方は見ていないだろうし、そこまで言い訳しなくても。続けましょう。

③飽和食塩水の濃度は26%です。水200gと100gの食塩を混ぜました。何gの食塩が溶けずに残りますか。

・・・飽和食塩水?ただの食塩水と何が違うの?

まめじぃ

飽和食塩水」とは、「もうそれ以上、食塩は溶かせません」という限界まで溶けた食塩水のこと。

「飽和」とは、「もうこれ以上ムリ」とおぼえよう。

水に塩を溶かすと、限界はおよそ36%だという。温度で少し差は出るが、だいたい36%前後。

この限界まで溶かしきった食塩水を「飽和食塩水」という。

ところが、今回の問題の引用元となっている、

『准看護学校入試問題解答集』啓明書房

では、

「飽和食塩水の濃度は26%

とある。模範解答も26%で計算している!!

この書籍、誤植が多いことで有名なんだが、あえてその誤植をそのまま引用した。あえてだ。元の入試問題では、きっと「36%」と記載されているだろうけれど、手元になくて確かめようがないから、あえての「26%」で解いてみよう。

でも本当は

飽和食塩水の濃度は約36%」なんだぞ。

ななみ

は、はい・・・おぼえておきます・・・

!!

そうか!入試問題だって誤植が無いとは限りません!

まめじぃ

まあ、その場合、どちらの数値でも正解じゃないとおかしいのだけれど、何も公式のアナウンスが無い(ワシが見つけられないだけかも)から、なんとも言えない。

ななみ

じゃあ両方解いてみましょうよ。まずは間違っている「26%」なら、このように考えますね。

26%の食塩水(200+x)gには、食塩がxg含まれています。これを数式に置きかえると、

とあらわすことができます。これを解くと、

x≒70.3(小数第一位まで)

よって、

[食塩100(g)]-[溶けた食塩70.3(g)]⁼[溶けずに残った食塩]

となり、

29.7(g)

が正解となりますね。

まめじぃ

うん。別紙プリントの正解はこちらにしておいた。

それで、本来の飽和食塩水の濃度「36%」だと、計算結果はどうなった?

ななみ

それが!

x=112.5になって、

これだと、食塩100gは全部解けちゃう計算ですね笑

まめじぃ

そう。全部解けちゃうから、食塩、残らないの。答えが「0g」になってしまうんだな。そもそも問題が成立しないっていうね。

ななみ

もし、こういう問題が誤って出題されたなら、全員正解になるべきですね。

まめじぃ

だよねー。

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