濃度の計算問題を解くための「Tの型」(17)
さあ、これで最後の問題。
(17)濃度5%の食塩水100gを作るつもりが、塩分計で測ったところ、食塩の量が超過していて濃度5.5%の食塩水ができていた。水の量は変わらないとして、次の問に答えよ。
①当初予定した食塩水中の食塩の量および水の量はそれぞれ何gか。
②実際に加えた食塩の量をxgとすると、出来上がった食塩水の量は何gか、xを用いて表せ。
③xを求めよ(答えは少数第1位まで求めよ)。
(石川県立総合看護専門学校・改)
”石川県立総合看護専門学校は、だいたい同じような出題パターンですね”と言った前回の私をぶん殴ってやりたいわ!何コレ!?
実験を間違えたの?だったら最初からやり直そうよ!
わはは。最後の最後に変化球が待っていたな。落ち着いて「わかっていること(既知情報)」と「わかっていないこと(未知情報)」を整理していこうな。
①は引っかけ問題でも何でもない。
濃度5%
食塩水100g
以上の既知情報から、食塩の量を求め、そのあと、
[食塩水の量]-[食塩の量]⁼[水の量]
の式で答えを出す。
ほんどだ!見せかけに引っかかって焦っちゃダメですね!
これまでやってきたことをやるだけですね。
まずは食塩の量を求めます。
ここから5gとわかります。
そして、食塩水100gで、食塩が5gだから、水の量は、
100-5=95(g)
あれ。カンタンだった。
そう。これまで稽古してきたことをちゃんと思い出せば、変化球であっても「基本は同じ」なんだから、ちゃんと解ける。次は②だ。
出来上がった食塩水の量は、100gじゃなかったの。
間違えてxg入れちゃったとして、何gの食塩水ができたことになる?
はいはい。そのために①で95gを出させたのですね。出題者は策士だなあ。
もともとの水は、95gでした。そこにxgを加えたのだから、
95+x(g)
・・・あれ。これもカンタンだった。
うふふ、カンタンだと言えるのは、これまでの稽古があってこそ。では③はどうだ?
どうだ?・・・って、これまで練習してきたことをやるだけですよね。
数学的にこの図が合っているかどうかはともかく、このように図ができます。「Tの型」発動!
これを方程式にします。
分子に小数が来るのは、数学的には邪道なんだろうけれど、両辺に×100すれば分母は消えるから、問題なし。
これを解いて、
x≒5.52
四捨五入して、
答えは、5.5(g)
でした!
やり切ったな
やりきったよう。
この「Tの型」はな、20~30年位前は、普通に学校の授業でも教えられてきたことだったのだけれど、
一部の専門家から猛烈な反対意見が出てな。
「こんなやり方を教えているから、思考力が育たない」
といったような。
それで現在では、ちょっと下火になっているというか、
そんな解き方があるとは知らなかった
という生徒も多い。
私も習っていませんよ。
うん。
確かにな、専門家の先生が指摘することもわかる。
しかし、ワシが言いたいのは、
「思考力が育つことを待っていたら受験日は過ぎちゃう」
ということなんじゃ。
子育てしながら、家事も仕事もして、更に受験勉強だぞ?
こんな便利な「技」があるんだから、使わない手はないの。
小学生ならね、時間をかけてじっくり考える時間はあるだろう。ゆっくりじっくり、思考力を育てていけばいい。
ところが、もうそんな余裕ないわけよ。
家事育児丸投げで、仕事を言い訳にして逃げている人には言われたくないんだわ。
子どもの頃から算数が苦手で、数学なんてチンプンカンプン。そんな人が、目の前に迫った試験日に追われながら、じっくりと数学的思考力を養っている暇なんて無いの。
でも「Tの型」を活用すれば、効率よく問題が解けるわけ。
使わない手はないんじゃ。
まったく、誰に向かってしゃべっているんですか!
すまん。ひとりごと。
まずは「型」をちゃんと学んで、その通りやってみる。
次に、「型」は意識しながらも、「型」を思い浮かべながら、自力でやってみる。
最後には「型」を意識しなくても、できるようになる。
武道の教えである【守・破・離】。
とても大切なこと、教えてもらいましたよ( `ー´)ノ
ありがと。
全17回、お疲れさまでした。ところで、まだ問題プリントを入手されていない方は以下のリンクからどうぞ。
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