はじめに
英語の入試対策で「これ一冊だけ、やっておけばいい」という書籍はありません。
まずは過去問題に取り組んでみて、自分が何から始めるべきかを知ることが第一歩です。
そのうえで、何をどのように勉強していくか、プランを立てます。
大切なことは、今の自分のレベルがどれくらいで、そのレベルであればどのようなテキストが最適かを知ることです。
今から段階別に、オススメのテキストを紹介していきます。
1,初級
まずは「語彙力」です。単語の意味が全然わからないのに文法をいくら学んでも、読み書きできるようにはなりません。寝る前に10分、毎日暗記するだけでも差は出ます。
定評ある「シス単」シリーズの最も初級レベル。中学3年間で学習する重要単語を復習するための本です。
関先生のこちらの本もオススメです。関先生流の「効率的なおぼえかた」も指南して下さっています。
外国語の単語を覚えるということは、時に苦痛を伴います。
正直、眠くなってきて、飽きてくることだってあります。
自分の興味ある分野に関する単語などは、1度でおぼえられることもありますが、そうでない事の方が多いと思います。
それでも「そんなもんだ」と開き直って、時間を決めて、毎日毎日、コツコツおぼえる練習を欠かさないことが重要です。具体的なテクニック等については、今後も「勉強法」カテゴリで取り上げていく予定ですが、結局は[かけた労力]=[語彙力]です。
よく「興味を持って学ぼう」というアドバイスがありますけれども、興味を持ちたくても持てない場合どうすればいいんだ、という話です。そんな簡単なものではないのです。外国語の単語を覚えるということは、必ず苦痛が伴う。それでも「そんなもんだ」と開き直って(2回目)、継続していく以外、方法はありません。
あるイタリア語翻訳者が言いました。動詞の活用変化を泣きながら練習した、と。
ここをクリアしないと、外国語ができるようにはなりません。
そうして、だいたい1000語前後、基本語彙が身に付いてきたら「文法」の学習が捗ります。
時間が無い受験生にはこういった「まとめ教材」から入ることをオススメしています。著者はTOEIC関連の参考書で定評のある先生で、わかりやすさは保証します。ただし「わかりやすい」ということは、それだけ「複雑で、難しく、実力アップのために本当に重要な部分」は省略されている、という事実も知っておいて下さい。それでも「まず最初の一冊」として最適な本です。
これらができるようになって初めて「長文読解」の練習がちゃんとできるようになってきます。
『未来を切り開く学力シリーズ 本多式 中学英語マスター 速読長文』本多敏幸 文藝春秋
初版が2004年。「速読」のテクニックを教えてくれる本ではなく、英文をしっかり読み込んで、理解する力を養ってくれる本です。ロングセラーには理由があります。24日間、楽しみながら学んで、気づけば、読むスピード、理解力は向上しているはずです。
2,中級
「語彙力」に関して、やはり私がオススメしたいのは「シス単」シリーズです。「試験に出るフレーズ」で学習できる点で、優れていますし、各単語の説明も秀逸です。語源を紹介しているものもあり、短時間でたくさん覚えなければいけない状況下、「おぼえやすさ」・「おぼえたことの活用しやすさ」両方で、このシリーズはとても優れています。
次に「文法」です。
『高校の英文法が1冊でしっかりわかる本』肘井学 かんき出版
『高校の英文法・語法が1冊でしっかりわかる本』肘井学 かんき出版
この2冊で、高校レベルの英文法は大丈夫です。ただご注意いただきたいのは、しっかり取り組めば「わかる」本であって、「できる」かどうかは別物です。
「できる」ようになるのは、やはり演習。練習問題を何度も繰り返し「じぶんのもの」にしていく時間がたいせつです。
過去問を繰り返し解くこともそうですし、次のような問題集を解くことも力になります。以下は大学入試向けになりますが、やっと「英語学習の愉しさ」を実感できるようになってくる段階です。
『基礎英語長文問題精講 3訂版』旺文社
「看護学校の入試でそこまで必要ない、高校1年生程度の英語力で充分」という話も聞きますが、おそらく最近の過去問をあまり解いていらっしゃらないのでしょう。もしくは最近の高校1年生の英語学習レベルをご存知ないか・・・どうなんでしょう。
中学卒業程度の範囲で出題される准看護学校ならともかく看護専門学校の中には、国公立大学の入試問題からそのまま引っ張って来たのかと思うような、難易度の高い問題も出題されています。
学校によっては、学力テストの結果をあまり重視しない、という噂も聞きますが、だから学力が低くて良いという理由にはなりません。上に紹介したテキスト類をしっかりやりこんでおいて損をすることは決してありません。
3,上級
もし余裕があれば、以下の書籍も手に入れておいて下さい。目的は「行き詰ったとき、ペラペラめくりながら、調べ・考えるため」です。単語の意味は、ネットで検索すれば大体いけますし、チャットAIで文法の説明もそれなりにしてくれます。
しかし、紙の本には、紙の本だからこその便利な使い道があります。繰り返しますが、
行き詰ったとき、ペラペラめくりながら、調べ・考えるため
です。
これはAIでは決してできない行為で、せっかく入試で英語を学び始めたのだから、ライフワークとして英語学習を続けていきたい、という方に、ぜひ手元に置いておいて欲しいです。
『ロイヤル英文法―徹底例解』旺文社
『一億人の英文法 ――すべての日本人に贈る「話すため」の英文法』大西泰斗/ポールマクベイ 東進ブックス
4,過去問解説配布中
勤医協札幌看護専門学校の英語過去問題の解説を配布しています。詳しくは以下からお問合せ下さい。
5,練習プリント
鋭意制作中…
1,不規則動詞をおぼえよう
2,あなたの英語力をチェック!~入試によく出る「エリザベス・ブラックウェル」を題材に
(1)レベル1(初級編)